世界で最も古いと認識されている職業団体は何か?と聞かれたらどう答えますか?
結論からいいますと、四天王寺を作った日本の宮大工の団体「金剛組」が筆頭に挙げられることが多いんですね。つまり日本の宮大工の技術というのは職業として世界に認められた最初の技だ、ということになります。2020年末にユネスコの世界無形文化遺産に、この宮大工の技なども含む日本の木工技術が認定されましたが、むしろユネスコの気づきが遅すぎるのではないかとさえいえるのではないかと思っています。
この写真は神奈川県湯河原町の五所神社で撮影されたものですが、キャプションにもある通り、宮大工の作業現場というのは寺社仏閣の本殿裏になることが非常に多く、そこは宮司さんと宮大工さんのみが入ることができる神聖な場所と考えられているため、我々をはじめ旅行者もユネスコが認めるほどの宮大工の技を直接オンサイトで見ることができる機会がほとんどないのが現実です。後述しますが、宮大工ツーリズムのミソのひとつはこの難題を突破したことにあります。